『うたえ!エーリンナ』が素晴らしかった話
ツイ4で連載されていた『うたえ!エーリンナ』が最終回を迎えました。
古代ギリシャの女詩人サッポーのもとで学ぶ少女たちの様子を描いた物語で、こちらから無料で全話読めます。ぜひ読んでください。
この『うたえ!エーリンナ』が好きすぎて、いてもたってもいられずブログを書き始めてしまいました。
どこが素晴らしいのか以下に述べます。ネタバレを含むのでご注意ください。
①少女たちの一瞬の輝き
古代ギリシャでは、女性はけして自由な存在ではありません。少女たちがサッポーの元でのびのびと過ごせるのは、結婚するまでのほんの短い間だけです。そのことは一話から最終話までずっと述べられ続けています(1話、23話〜30話など)。
限られた時間の中で、少女たちは友人を作り短い青春を送ります。いつか終わってしまうからこそ精一杯過ごすのです。そんな儚さとその中に残る希望を生き生きと描いているのが『うたえ!エーリンナ』です。
彼女たちは歴史の中に実際にいたかもしれないし、いなかったかもしれない。彼女たちの時間に思いを馳せるとき、私たちもまた日々を大切に生きていこうと思わされます。
②エーリンナとバウキスの関係
当初はマイペースなエーリンナにやきもきするバウキスでしたが、12,13話でエーリンナの心の一端に触れてから関係が変わり始めます。
最高じゃないですか!?
理解できないと思っていたエーリンナの心の中にある繊細な部分に触れてしまい、はっとするバウキス。そんなバウキスが自分を救ってくれると言うエーリンナ。途方もない百合です。(ここでいう百合とは女性同士の深い関係性のことを指し、必ずしも恋愛を含意しません。)
この後もバウキスがエーリンナにどきどきするシーンが続くだけでなく(14話、16話)、バウキスを侮辱されたエーリンナが怒って相手に掴みかかったり(74話)、エーリンナがバウキスのために歌を残すことを宣言したり(29話〜30話、115話〜116話)、二人の関係が何にも代えがたい大きなものであることが作中のいたるところで示されます。
私は女の子二人の間にある特別な感情が大好物なので、たまりませんでした。似たような方にはぐっとくると思います。
③エーリンナとリュコスの関係
リュコスは、エーリンナのライバルと言える存在です。 自信家で、女の子のことを馬鹿にしていて、エーリンナと真っ向から対立します。(古代ギリシアで女の子が男の子に反駁するなんてこと自体、本来はありえないのですが。)
この二人の間に最後まで恋愛感情は芽生えません。が、二人は互いをライバルと認め合い、互いの存在をバネにして奮起します。
私は男女の間の恋愛じゃない絆が大好物なので、たまりませんでした(二回目)。エーリンナとリュコスが最後に言葉を交わすシーンなんて、涙なしには見られません。
sai-zen-sen.jp
終わりに
この他にも素晴らしい点は多々あるのですが、私の言葉では語り尽くせません。
少女たちが自由に生きられない世界で、それでも歌に救われるものがある。詩女神に選ばれて生涯を掛ける女の子がいる。最高の人間賛歌です。
読んでください!!
2018/4/3 追記
書き忘れていたのですが、『うたえ!エーリンナ』は4/11に単行本が出ます。
コミックス描き下ろしがあるそうなのでそちらもぜひ!
書店特典もあるようです。